物理の問題で「滑らかな床」ではなく「粗い床」が出てきたら、それは摩擦力の出番です。また、水中での重さの変化を扱う浮力も、決まったパターンしかありません。
今回は、テスト頻出の「摩擦力の3ステージ」「斜面の力の分解」「アルキメデスの原理」を、例題つきで一気にマスターしましょう!
📋 この記事の目次
1. 摩擦力の正体:3つのステージ
摩擦力には3つのステージがあります。ここを混同しないことが得点アップの秘訣です!
ステージ① 静止摩擦力:力を加えても動かないとき
加えた力と同じ大きさで逆向きに働く。物体が動かない限り、押す力に合わせて自動調整される。
→ 「押した力 = 静止摩擦力」の状態が続く
→ 「押した力 = 静止摩擦力」の状態が続く
ステージ② 最大静止摩擦力:動き出す直前の限界
静止摩擦力の最大値。これを超えると物体は動き始める。
F₀ = μN(μ:静止摩擦係数、N:垂直抗力)
F₀ = μN(μ:静止摩擦係数、N:垂直抗力)
ステージ③ 動摩擦力:動いている最中のブレーキ
動いている間はずっと一定の力。スピードに関係なく値が変わらない。
F’ = μ’N(μ’:動摩擦係数)
一般に μ’ < μ(動摩擦係数 < 静止摩擦係数)
F’ = μ’N(μ’:動摩擦係数)
一般に μ’ < μ(動摩擦係数 < 静止摩擦係数)
💡 「一度動き出すと少し楽になる」感覚がまさにこれ!
重い家具を押すとき、動き出す瞬間が一番大変で、動き始めると少し楽になりますよね。μ'<μ なので、動き出した後の摩擦力(動摩擦力)の方が小さいからです。
📝 例題:摩擦力を求める
質量 4.0 kg の物体が粗い床の上にある。静止摩擦係数 μ = 0.50、動摩擦係数 μ’ = 0.35、g = 9.8 m/s²。
① 最大静止摩擦力は? ② 動摩擦力は?
① 最大静止摩擦力は? ② 動摩擦力は?
1
垂直抗力を求める:N = mg = 4.0 × 9.8 = 39.2 N
2
① 最大静止摩擦力:F₀ = μN = 0.50 × 39.2 = 19.6 N
3
② 動摩擦力:F’ = μ’N = 0.35 × 39.2 = 13.7 N
① 最大静止摩擦力:19.6 N ② 動摩擦力:13.7 N
2. 斜面上の運動:重力を分解するのが鉄則!
斜面上の物体には真下に重力 mg がかかっています。これを「斜面に沿った方向」と「斜面に垂直な方向」に分解するのが計算のスタート地点です。
斜面の力の分解(傾き角 θ)
📐 斜面の力の分解(傾き角 θ)
mg sinθ ← 斜面に沿って滑り降りる力
この力が物体を加速させる(運動方程式の右辺に入る)
mg cosθ ← 斜面に垂直に押し付ける力
垂直抗力 N とつり合う(N = mg cosθ)
💡 「滑り降りる方向はサイン(sin)」と覚えよう
θ が大きい(急な斜面)ほど sinθ が大きくなり、滑り降りる力が大きくなります。θ = 90° なら sin90° = 1 で、真下に落ちる自由落下と同じになりますね!
📝 例題:摩擦のある斜面を滑り降りる
傾き角 30° の粗い斜面に質量 2.0 kg の物体を置いた。動摩擦係数 μ’ = 0.20、g = 9.8 m/s²。物体が滑り降りるときの加速度を求めよ。
1
垂直抗力:N = mg cos30° = 2.0 × 9.8 × (√3/2) ≒ 17.0 N
2
動摩擦力(斜面上向きに働く):F’ = μ’N = 0.20 × 17.0 = 3.4 N
3
斜面方向の運動方程式(下向きを正):
ma = mg sin30° − F’
2.0 × a = 2.0 × 9.8 × 0.5 − 3.4 = 9.8 − 3.4 = 6.4
a = 3.2 m/s²
ma = mg sin30° − F’
2.0 × a = 2.0 × 9.8 × 0.5 − 3.4 = 9.8 − 3.4 = 6.4
a = 3.2 m/s²
答え:3.2 m/s²(斜面に沿って下向き)
3. 水圧と浮力:アルキメデスの原理
水圧とは?
水中では深くなるほど、上にのっかっている水の重みで水圧が強くなります。
💧 水圧の公式
p = ρgh
ρ(ロー):液体の密度 [kg/m³] g:重力加速度 h:深さ [m]
深いほど水圧が大きくなる
深いほど水圧が大きくなる
浮力とは?(アルキメデスの原理)
物体の上面と下面にかかる水圧の差が「浮力」の正体です。深い方が水圧が大きいので、下から上向きに押す力が強くなります。
🚢 浮力の公式(アルキメデスの原理)
F = ρVg
ρ:液体の密度 V:物体が液体に沈んでいる部分の体積 g:重力加速度
覚え方:「物体が押しのけた液体の重さ」=浮力
覚え方:「物体が押しのけた液体の重さ」=浮力
💡 浮くか沈むかの判断
物体の密度 < 液体の密度 → 浮く(木・氷など)
物体の密度 > 液体の密度 → 沈む(鉄・石など)
物体の密度 = 液体の密度 → どこでも静止(中性浮力)
物体の密度 > 液体の密度 → 沈む(鉄・石など)
物体の密度 = 液体の密度 → どこでも静止(中性浮力)
📝 例題:氷山の一角
密度 0.90 g/cm³ の氷が海水(密度 1.03 g/cm³)に浮いている。氷全体の体積を V とするとき、水面上に出ている割合は何 % か?
1
水中に沈んでいる体積を V’ とする。
つり合いの条件:重力 = 浮力
0.90Vg = 1.03 × V’ × g
つり合いの条件:重力 = 浮力
0.90Vg = 1.03 × V’ × g
2
V’ を求める:V’ = (0.90 / 1.03) × V ≒ 0.874 V
3
水面上の割合:V − V’ = V(1 − 0.874) ≒ 0.126 V
→ 約 12.6 % が水面上に出ている
→ 約 12.6 % が水面上に出ている
水面上に出ているのは全体の約 12.6 %(約 8〜9 割が水中に沈んでいる)
💡 これが「氷山の一角」の由来!
見えている部分は全体の約1割。残りの9割近くは水面下に隠れています。「表に見えているのはほんの一部」という慣用句の由来がまさにこの物理現象です。
📘 発展:終端速度について
空気中を落下する物体は、速度が増すにつれ空気抵抗も大きくなり、やがて重力と抵抗が釣り合って速度が一定になります(終端速度)。雨粒が痛くない理由もこれです。この内容は「物理」の発展範囲で別記事にて解説します。
まとめ:今回の重要公式
| 項目 | 公式 | ポイント |
|---|---|---|
| 最大静止摩擦力 | F₀ = μN | 動く直前の限界値 |
| 動摩擦力 | F’ = μ’N | 動いている間は一定。μ'<μ |
| 斜面(滑り降りる力) | mg sinθ | 「滑り降りる方向はサイン」 |
| 斜面(垂直抗力) | N = mg cosθ | 「面に垂直な方向はコサイン」 |
| 水圧 | p = ρgh | 深いほど大きくなる |
| 浮力 | F = ρVg | 押しのけた液体の重さ |
- 01摩擦力は3段階:静止摩擦力(自動調整)→ 最大静止摩擦力(限界)→ 動摩擦力(一定)。
- 02斜面は「mg sinθ(滑り降りる)」と「mg cosθ(面を押す)」に分解するのが鉄則。
- 03浮力 = 押しのけた液体の重さ(アルキメデスの原理)。公式は F = ρVg。
- 04浮くか沈むかは物体と液体の密度を比べるだけ。

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