「何もしていないのに、自転車の空気入れが熱くなった!」そんな経験はありませんか?火で炙らなくても、「仕事」をするだけで物体の温度を上げることができます。
今回は、熱と仕事のつながりを表す「熱力学第1法則」を解説します。「家計簿」のたとえを使えば、一見難しそうな式も一瞬で理解できますよ!
1. 内部エネルギーとは「分子たちの蓄え」
物質の中には無数の分子が存在します。それぞれが運動エネルギーと位置エネルギーを持っており、そのすべての合計を内部エネルギー(U)と呼びます。
温度が上がる
内部エネルギーが増える
分子の動きが激しくなる = ΔU > 0
温度が下がる
内部エネルギーが減る
分子の動きがおだやかになる = ΔU < 0
💡 理想気体の内部エネルギーは温度だけで決まる
理想気体では分子間力がないため、内部エネルギーは分子の運動エネルギーのみです。温度が同じであれば、体積や圧力が変わっても内部エネルギーは変化しません。
2. 熱力学第1法則:ΔU = Q + W
内部エネルギーを「貯金」と考えてみましょう。貯金を増やす方法は2つだけです。
⭐ 熱力学第1法則(超重要公式)
ΔU = Q + W
ΔU:内部エネルギーの変化 [J]
Q:気体が吸収した熱量 [J](放出のときはマイナス)
W:気体がされた仕事 [J](気体がした仕事はマイナス)
Q:気体が吸収した熱量 [J](放出のときはマイナス)
W:気体がされた仕事 [J](気体がした仕事はマイナス)
⚠️ 「された仕事」と「した仕事」に注意!
この公式の W は「気体がされた仕事」です。
外から押されて圧縮される → W はプラス(エネルギーをもらう)
気体が膨張して外を押す → W はマイナス(エネルギーを使う)
教科書によって W の定義が異なる場合があるので、問題文の定義を必ず確認しましょう。
外から押されて圧縮される → W はプラス(エネルギーをもらう)
気体が膨張して外を押す → W はマイナス(エネルギーを使う)
教科書によって W の定義が異なる場合があるので、問題文の定義を必ず確認しましょう。
3. 符号のルールをマスターしよう
プラス(+)になるとき
Q > 0:気体が熱を吸収する
W > 0:外部から気体へ仕事をされる(圧縮)
ΔU > 0:内部エネルギーが増加(温度上昇)
W > 0:外部から気体へ仕事をされる(圧縮)
ΔU > 0:内部エネルギーが増加(温度上昇)
マイナス(−)になるとき
Q < 0:気体が熱を放出する
W < 0:気体が外部へ仕事をする(膨張)
ΔU < 0:内部エネルギーが減少(温度低下)
W < 0:気体が外部へ仕事をする(膨張)
ΔU < 0:内部エネルギーが減少(温度低下)
4. 実践!家計簿(計算)をつけてみよう
📝 問題①
圧縮しながら加熱
気体に 250 J の熱を加えながら、外部から 120 J の仕事をした。内部エネルギーの変化は?
1
Q = +250 J(熱を吸収 → プラス)
2
W = +120 J(外から仕事をされた → プラス)
3
ΔU = Q + W = 250 + 120 = 370 J
答え:ΔU = +370 J(内部エネルギーが 370 J 増加・温度上昇)
📝 問題②
圧縮しながら一部放熱
外部から 300 J の仕事をされた気体が、180 J の熱を外部へ放出した。内部エネルギーの変化は?
1
Q = −180 J(熱を放出 → マイナス)
2
W = +300 J(外から仕事をされた → プラス)
3
ΔU = Q + W = −180 + 300 = +120 J
答え:ΔU = +120 J(放熱していても、された仕事が大きければエネルギーは増える!)
5. 断熱変化:Q = 0 のとき
外部と熱のやり取りをしない(Q = 0)状態での変化を断熱変化といいます。このとき ΔU = W だけになります。
断熱圧縮(W > 0)
温度が上がる
例:自転車の空気入れ
押し込む(仕事をされる)→ 空気が熱くなる
押し込む(仕事をされる)→ 空気が熱くなる
断熱膨張(W < 0)
温度が下がる
例:スプレー缶の噴射
ガスが膨張(仕事をする)→ 缶が冷たくなる
ガスが膨張(仕事をする)→ 缶が冷たくなる
💡 なぜスプレー缶を噴射すると冷たくなるの?
缶の中のガスが外へ膨張するとき、外部に仕事をします(W < 0)。断熱変化なので Q = 0 → ΔU = W < 0 → 内部エネルギーが減少 → 温度が下がります。
まとめ:今回のポイント
- 01内部エネルギー U = すべての分子の運動エネルギー+位置エネルギーの合計。温度と連動する。
- 02熱力学第1法則:ΔU = Q + W。熱をもらう・仕事をされると内部エネルギーが増える。
- 03符号のルール:吸熱・圧縮(された)はプラス、放熱・膨張(した)はマイナス。
- 04断熱変化(Q = 0)では ΔU = W。圧縮で温度上昇、膨張で温度低下。


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