自動車や火力発電はすべて「熱」を「仕事(動く力)」に変える装置ですが、実はもらった熱を100%仕事に変えることは物理的に不可能です。
今回はテスト頻出の「熱効率の計算」と、その限界を決める「不可逆変化」を解説します。公式はシンプルなので、確実に得点源にしましょう!
1. 熱機関とは?仕組みを図で理解
熱エネルギーを繰り返し仕事に変える装置を熱機関といいます。自動車のエンジン・蒸気機関車・火力発電所などがこれにあたります。
熱機関のエネルギーの流れ
Q₁(吸収熱量)
高温熱源から受け取った熱量。燃料を燃やして得るエネルギー。
Q₂(放熱量)
低温熱源へ捨てる熱量。排気ガスや冷却水として外に逃げる。
2. 熱効率の公式と計算
吸収した熱量 Q₁ のうち、どれだけの割合を仕事 W’ として取り出せたかを熱効率(e)といいます。
⚙️ 熱効率の公式(2通り)
e = W’ / Q₁
基本形:取り出した仕事 ÷ 吸収した熱量
e = (Q₁ − Q₂) / Q₁ = 1 − Q₂/Q₁
Q₂がわかるときはこちらを使う(W’ = Q₁ − Q₂ を代入した形)
⚠️ 熱効率は必ず e < 1(100%未満)
Q₂(捨てる熱)が必ず存在するため、W’ は常に Q₁ より小さくなります。熱効率は必ず 1(100%)より小さい。これは物理の法則であり、どんな技術でも超えられません。
3. 実践演習:熱効率を計算してみよう
📝 例題①
基本の熱効率
熱機関に 800 J の熱を加えたところ、外部に 200 J の仕事をした。熱効率はいくらか。
1
Q₁ = 800 J、W’ = 200 J を公式に代入:e = W’ / Q₁ = 200 / 800 = 0.25
2
放熱量:Q₂ = Q₁ − W’ = 800 − 200 = 600 J
熱効率:e = 0.25(25%) 放熱量:600 J
📝 例題②
放熱量から求める
1000 J の熱を吸収し、400 J を低温熱源へ捨てた。熱効率と取り出した仕事は?
1
熱効率:e = 1 − Q₂/Q₁ = 1 − 400/1000 = 0.60
2
取り出した仕事:W’ = Q₁ − Q₂ = 1000 − 400 = 600 J
熱効率:e = 0.60(60%) 取り出した仕事:600 J
4. 不可逆変化:熱効率100%が無理な理由
なぜ熱をすべて仕事に変えることができないのでしょうか?その理由は自然界に存在する「不可逆変化」にあります。
| 変化の種類 | 特徴 | 具体例 |
|---|---|---|
| 可逆変化 | 外部に影響を与えずに元の状態に戻れる | 摩擦・抵抗がない理想的な振り子の運動 |
| 不可逆変化 | 自然には元の状態に戻ることができない | 熱の移動・拡散・摩擦による発熱 |
熱効率100%が不可能な理由
熱機関がサイクル運動を続けるには、ピストン等を元の状態に戻す必要があります。しかし「熱は高温から低温へしか自然に流れない」という不可逆な性質があるため、元に戻す過程で必ず一部の熱(Q₂)を外部に捨てなければなりません。これが「e = 1 の熱機関は存在しない」という物理の法則です。
📘 発展:熱力学第2法則について
「熱は自然に高温から低温へ流れ、低温から高温へは流れない」という法則を熱力学第2法則といいます。これが不可逆変化の根本にある原理です。詳しくは「物理」(発展)の授業で扱います。
5. 知識チェック!不可逆変化はどれ?
📝 次の現象のうち、不可逆変化を選ぼう
①コップの冷水がぬるくなり、室温と同じになる。
✅ 不可逆変化:ぬるくなった水が勝手に冷たくなることはない。
②コーヒーに入れたミルクが全体に広がる。
✅ 不可逆変化:混ざったミルクが自然に分離することはない(拡散)。
③摩擦・空気抵抗がない理想的な条件でバネにつるしたおもりが上下振動を繰り返す。
⬜ 可逆変化:理想的な条件ではエネルギー損失がなく、元の状態に戻れる。
💡 「自然に元に戻るか?」で判断する
不可逆変化かどうかは「その変化が自然に逆向きに起こるか?」で判断できます。熱が低温から高温へ自然に流れたり、拡散した分子が勝手に集まったりすることはありません。
まとめ:今回のポイント
- 01熱機関:高温熱源から Q₁ を吸収し、W’ の仕事をして Q₂ を低温熱源へ捨てる。Q₁ = W’ + Q₂。
- 02熱効率:e = W’/Q₁ = 1 − Q₂/Q₁。必ず e < 1(100%未満)。
- 03不可逆変化:自然には元に戻らない変化。熱の移動・拡散などがこれにあたる。
- 04熱効率100%のエンジンが作れない理由は、熱の不可逆な性質(高温→低温にしか流れない)にある。

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